ヴィタリック Gas価格決定の新アルゴリズムを提案|イーサリアムGasの考え方は変わるのか

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Gas高騰問題を受けて、ヴィタリックが新たなGas価格決定アルゴリズムを提案

6月の末から、イーサリアムネットワークのGas価格(取引手数料)が高騰しています。

取引手数料は一時、仮想通貨投資ブームであった2018年1月の数値を超える瞬間もありました。

主な原因として、Fcoinのスパム的にトランザクションを発生させる実装が挙げられており、これは多くの物議を醸しました。

▼イーサリアムGas価格高騰原因に関しては、詳しくはこちらへ
(Gasとは?についても解説しています)
イーサリアムネットワークのGas価格が高騰する ここ一週間イーサリアムネットワークのGas価格(取引手数料)が高騰しています。 取引手数

ヴィタリックもFcoinの実装のようなスパム的トランザクションを問題視しており、これを受けて、ヴィタリックはETHresearchで、Gas価格決定に関する新アルゴリズムの提案をしました。

(CasperやShardingに依存しない為、しっかりと監査されればすぐにでもメインネットに実装出来るとのこと)

現状のGas価格決定の課題・解決策

キーワード:
第一価格(ファーストプライス)オークション
均一価格(セカンドプライス)オークション

第一価格オークション <現状の課題>

−仕組み
現在イーサリアムでは、Gas価格決定の仕組みとして、第一価格オークション(First-price sealed-bid auction (ファーストプライス封印入札方式))を採用しています。
この第一価格オークションという価格決定の仕組みは、イーサリアムやビットコインを始めとした多くのブロックチェーンで、トランザクション手数料を決定するための仕組みとして利用されています。
この第一価格オークションとは私達が知っている一般的な形態のオークションのことを指します。
最終的に最も高い価格を入札した買い手に販売され、支払額も最も高い価格に設定される仕組みのことです。
−課題
この仕組みが、今回のGas価格高騰問題の一因でもあります。
この第一価格オークションの問題点は、優先度の高いトランザクションを通したい時に、他のトランザクション手数料を確認できないため、手数料がどうしても高くなってしまう点です。
もし、他のトランザクション手数料をリアルタイムに確認できれば、最適化を行える可能性もありますが、そこには複雑な経済モデルとリアルタイムなブロックチェーンの性能が必要となり、現実的ではないです。

均一価格オークション <現状での解決策(問題点あり)>

−仕組み

この第一価格オークションの問題点をシンプルに解決しているものとして、「均一価格オークション」があります。(しかし、この均一価格オークションにも問題点が存在しています)

これは、オークションのすべての参加者が、最も低い入札者によって支払われた価格と同じ価格を支払う方式となります。

例えば、ブロックに格納できる値は5つしかないものとします。

この時このうちトランザクションの送信が完了するのは、上位5人の 0.05, 0.08, 0.13, 0.19, 1.00です。そして、この際に支払わなければならない手数料は上位5人のうちで最も低い入札である0.05が採用されます。

これが均一価格オークションの仕組みです。

これによって、高めの金額で入札を行っても、その金額を支払う必要はないため、トランザクション送信者の戦略がよりシンプルになります。

−課題

しかしこの均一価格オークションには2つの脆弱性があります。

第1に、ブロック提案者は、ブロック内に自分の取引を含めることができ、それによって清算価格を上昇させ、自分の総収入を増やすことができてしまいます。

第2に、ブロック提案者は、いくらかのトランザクション送信者と結託し、”実際の”入札額よりも高い入札価格を提示して、別のチャネルで払い戻すように求めることが出来てしまう点です。(つまり、共謀して入札額を釣り上げる)

この「均一価格オークション」の下では、トランザクション送信者が入札単価を1ドル引き上げると、ブロック提案者の総収益が1ドル以上増加するため、両方の攻撃が可能になります。

この2つの問題は現状利用されている、「第一価格オークション」では起こりえません。

ヴィタリック達からの提案

−目標

ヴィタリックたちは今回の提案の目標を、ユーザー側には「複雑な計算」「複雑な経済モデル」を必要とさせず、なおかつインセンティブを作り出す様々な形態の「結託」を阻止することとしています。

※ヴィタリックたちは、これを現状を大幅に改善する最小のプロトコル変更を見つける試みとし、以下は、数学的に完璧な最適性を実現していないが、現状との相対的な方向性を見直す提案だそうです。

−仕組み

ヴィタリック達は今回の仕組みを、「第一価格オークション」と「均一価格オークション」のハイブリット型とよんでいます。

このメカニズムはminimum fee F (最低手数料) を維持し、すべての取引で料金が指定されます。

取引がブロックに含まれるためには、 取引は少なくともFを支払う必要があり、料金は次の式でブロックごとに調整されます。

この式における

は、前回ブロックのBlock Gas Limit (最大量) に対する合計Block Gasの比率とし、

また、Kは常に (0 < k < 2)であるとしています。(VitalikはこのKを仮に0.5くらいの値だと考えている)
※現状、この式は、数学的に完璧な最適性を実現していないとしている。

この仕組が採用され、トランザクション送信者が経済的に合理性のある行動を取ると、ブロックガス比率は、常に50%埋まった状態になるよう修正されていく。

これにより、マイナーは、支払われた取引手数料から最低手数料を差し引いた収入を受け取ります。トランザクションには最小ブロック番号を含めることができ、それがメカニズムのすべてとなります。

つまり、 最低手数料はプロトコルに徴収されるかバーンされます。それにより、マイナーは自分のトランザクション手数料を結託して釣り上げようとしても、損失が生じてしまいます。

マイナーのインセンティブは、第一価格オークションと同様のものとなっています。

そのため、マイナー達は第一価格オークションと同じように。できるだけ高価な取引を集めて、そのブロックに入れることを試みます

この仕組が採用された時のトランザクション送信者は以下のような戦略を取ります。

1.通常のケース

トランザクション送信者は最小手数料が高いか安いかを確認。高い場合は、トランザクションを送信しない選択をとります。低い場合は、最低手数料のプラス1%(またはその他の標準マークアップ)を入札してトランザクションを送信します。

これは第一価格オークションの、他のトランザクション手数料がわからないという課題を解決しています

2.需要が非常に高い時期のケース(今回のGas高騰の時期のような)

基本的にこのケースを用いるのは稀だとされています。この仕組を採用した場合、ブロックがいっぱいになるのは短期間だけになると考えられ、最低手数料が追いついてくるはずです。
なので、このケースでは現在使用しているような不完全なアルゴリズムで設定された料金で発行していきます。

つまり、これは均一価格オークションの「マイナーの結託」という課題を解決しているということです。

上図の、Miner revenueを最低手数料と捉えてください。
この仕組を導入すると、トランザクション量が少なければ、最低手数料の範囲が狭くなり、トランザクション量が増えれば、最低手数料の範囲が広くなるのです。
トランザクション量が急激に増えても、最低手数料がそれに応じて追いつき、そのトランザクション料での最適な最低手数料を、すぐに提示できるようになります。

また、このアルゴリズムを利用することで、トランザクション送信者が好きな条件を設定し、自分にあった送信方法を取ることが可能になります。

例えば、遅れを気にしないので、できるだけ低い手数料で送信することや、5ブロックの間低い手数料で抑えるように試して、ダメなら高い手数料で送る等が出来ます。

まとめ

今回はFcoinの実装によるGas高騰問題を一因とした、ヴィタリックのGas価格決定アルゴリズムの新提案を解説しました。

原文は下記のURLです。この提案に関して、どのようなコメントや見解があるのか見てみてはいかかがでしょうか。

https://ethresear.ch/t/first-and-second-price-auctions-and-improved-transaction-fee-markets/2410

実際にこのアルゴリズムが採用されるかはわかりませんが、ETHreserchでさらに検討・議論されていくと思われます。

また、今回のアルゴリズムが採用されることで、Fcoinのような実装によるGas価格が高騰する問題が解決されるわけではありませんが、

現状の課題である複雑な選択肢(他のトランザクション手数料がわからない)を、最低手数料を取り入れることで、明確なものとします。

これが採用された場合、Gasシステムが大きく変わり、トランザクションを送信する際の手数料がより、最適なものになるかもしれません。


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